最終回

翌日

トーエンだだをこねて、ヨアヒム師に魔法の扉で王立魔術師協会ホールのガルブレイス師の納戸の扉に近道の魔法をかける。
そのまま伝令をふくめて、ぞろぞろと冒険者が移動する。
ア・ズゥは、国境の城砦の責任者としてその場に残ることになる。

J卿が皆を引き連れて、王宮にことの顛末の報告に出向く。
王国の顧問としての要職にあるガルブレイス師もちゃっかりついてくる。
大広間に通されて、それなりの身なりの要人が大勢いる中を通される冒険者達。
王の御前にて、ことの顛末を報告するJ卿。
ファンファーレがなる。
大臣「決死の覚悟で敵国の真っ只中に分け入り、狂王を打ち倒し、敵を退かせた功を讃えて、勲章を与える。」
トロンヘム王「大義である。ご苦労であった。」
勇士達に報奨の金貨の入った小袋とメダルが授与される。
玉座の後ろには、大きく寝そべる黄銅龍の巨体がうねうね。
気がつくとその場にはヨアヒム師の姿はない。
黄銅龍は、にやりと笑う。

そして、エンドクレジットが表示される。

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転進

赤龍侯「ふつーそれなりの数の軍勢を退かせるというのはなかなかむずかしいのだが、今回は楽にできそうである。」
レッシュ「オーク鬼どもも生き物ですから。」
トーエン「やっべー。給料くれる奴がいなくなった。ってことなんですよ。」
赤龍侯「我等ももどるべきところに戻るとするか?」
レッシュ「え~どこまで?」
赤龍侯「帰るべきところだよ。トロンヘムではないがね。」
赤龍侯は、蜥蜴兵士を引き連れて、南方へと転進していく。

途中、林の中のベースキャンプにて、控えのエリー他と合流する。
ヨアヒム師「徒歩でここから砦までもどるのに十日ほどかかるかもしれん。老人にはしんどいので休みながら帰りたいのー。」
レッシュ「え~爺さん魔法でもどれないの?」
ヨアヒム師「そりゃ~帰還の呪文を唱えれば、すぐに我が輩だけ帰還することができる。みんなを置き去りにしてね。」
チェルシー「ずるいー。」
ヨアヒム師「他の方法でみんなが戻る方法がないわけではないが~。」
トーエン「じゃ~それをやってくれ~。」
ヨアヒム師「では~扉をここに作ってくれ、ちゃんと開けられることができる。扉をじゃ。」
廃材や廃屋から材料をかき集めて、扉を作る。
ヨアヒム師「ま~魔法で鍵をかければよいかのー。ここに扉が残ってしまうのが問題だ。7回しか使えない。」
トーエン「だったら、人数をわけて行って、7回使いきればいいじゃん。もったいないって問題ではないよ。」
納得する冒険者。
魔法を使い、一瞬にして国境の城砦の納屋に現れる冒険者。
兵士達は、当然大騒ぎとなる。

トーエン「J卿が城を落としたました。」
兵士の歓声。
戦争が終わって喜ぶ一般兵士の方々。
レッシュ「かの地が貴公の所領としてよいかも。」
J卿「民のいない土地では、単なる廃墟というのか~。魑魅魍魎が跋扈する場所に入植者がくるかどうだか。」
レッシュ「難民が帰還すれば~。」
J卿「しかし~難民は、周辺の被災地域からの難民であってトロンヘムではあるまい。」
ヨアヒム師「民族浄化政策で、住民は、操り人形にはもってこいの動く死体や兵士にされたのではなかったと。」
トーエン「町中が空いているからこいよってね。」
J卿「しかし~近隣の難民といえば、丘ドワーフの一族のほうが多かったように思うがー。」
トーエン「それなりの土地ですが~放置しますか?」
J卿「いろいろとやってきたがドワーフの領主をやる自信がない。君らの故郷だろー。」
トーエン「出身地ではあるが~未練はない。」
J卿「君らのほうが領主としては、適任だ。戻ったほうがいいよ。」
エリー「死体ばっかりだしー。」
トーエン「次は、成りたいのは領主ではなくて、ドラゴンかな。」
ヨアヒム師「(;^_^A あはははははは。(乾いた笑い)」
影がかなり大きく、人間ではなかったりする。
ヨアヒム師「ま~速やかに王都にもどったほうがいいかな。」
トーエン「王に爵位の一つも貰いたいしね。」


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帰還

赤龍侯「我等は所帯が大きいので易々と撤退というわけにはいかぬ。」
レッシュ「オーク鬼どもが多くいるし。」
赤龍侯「J卿も含めて早々に帰還したほうがよい。」
蜥蜴中佐「我等には、戦利品を確保するという重大な仕事がまだある。」
レッシュ「あ~戦後処理って奴ですかー。」
チェルシー「我等には、国境の城砦に報告という仕事もある。」
突然何を思い出したのか、城に戻ろうと言い出すトーエン。
トーエン「忘れモノを今 思い出した。」
駆けだす冒険者が三人 トーエン、レッシュ、チェルシー。
とりあえず~激走するトーエン。我もわからずついていく冒険者。
気迫でオーク鬼どもを蹴散らしていく。
城の塔に駆け上がり、さらに屋根まで這い上がる屋根の上に避雷針にトロンヘムの旗を掲げる。
あっけに取れるレッシュにチェルシー。
なぐり描きの紋章の布切れを大きくふって、大きな声で勝ち名乗りをあげる。
あっちこっちでは、オーク鬼どものどよめきがおきる。
トーエン「あぶない!あぶない!忘れるところだった。」
崩れ落ちるチェルシー。
爆笑するレッシュ。
ほてほてと来た道をもどるが、オーク鬼どもにはまったく遭遇しない。
トーエン「これで戦後処理って楽になるかも、トロンヘムの植民地とか自治領とかになるかも。」
ほてほてと戻っていく冒険者。

赤龍侯「今まで対峙していたオーク鬼どもが急に敗走していったが原因がわからん。」
蜥蜴伍長「ある程度の距離をおいておりますが、攻めてはきません。」
赤龍侯「貴公らは何をしてきたのか?」
トーエン「ちょっと~城にトロンヘムの旗をたててきました。」
蜥蜴伍長(;^_^A
赤龍侯「ふつーそれなりの数の軍勢を退かせるというのはなかなかむずかしいのだが、今回は楽にできそうである。」
レッシュ「オーク鬼どもも生き物ですから。」
トーエン「やっべー。給料くれる奴がいなくなった。ってことなんですよ。」
赤龍侯「我等ももどるべきところに戻るとするか?」


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与太話

赤龍侯「しかし~もうトロンヘムには、しからばー居場所がないだろー。」
チェルシー「どうしてなんですか?」
凝視しているJ卿。
レッシュ「ご存知ですか?」
J卿。「一応、戦友だったわけだしー。」
赤龍侯「異形の兵士がこれだけついてきているわけだし、もう戻ることはできぬ。」
チェルシー「此度の一件については、先をこさせていただきました。(^-^ゞ」
レッシュ「ここには、オーク鬼どもが多くいます。」
赤龍侯「貴公らを慕っている兵士もいることだし。国境までは送り届けるとしよう。」
トーエン「他にも北上している兵の一団がいますよね。あれって聖堂騎士団とかその手の義勇軍?」
赤龍侯「それもあるけど、先陣を切っているのは、トロンヘムの近衛隊を落ちた奴だよ。」
トーエン「え~~~~~。」
赤龍侯「落ちたというのは、誤解を招くか。試験には受かったが、諸般の事情でそのまま仕官しなかった奴
といったほうが正解かな。難民を逃がすために皆を引き連れて、南へ逃げたヤツだな。志は高いよ。王より
民衆をなんとか救いたいってところわねー。温かい地域に難民を逃がして、食料を確保して、勇士を募って北上。
途中、聖堂に立ち寄り、騎士団を一喝して、兵を動かして北上してきたのであろー。」
レッシュ「共闘しているわけではないと。」
赤龍侯「知ってはいるが、志は、微妙に違う。」
トーエン「やはり~J卿が、凱旋しないとね。」
J卿「そういうことは、あんまり好きではないが~。」
チェルシー「おいおい。」
トーエン「あんたがやりたい言ったから~。」
レッシュ「そういうことでは、いかんですよ。部外者の我等ってこともあるし。」
チェルシー「まったく様になりません。」

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残務

真南に突き進んでいくと地面の雪が皆無となる。
トーエン「偉い暑い(;^_^A」
チェルシー「蜥蜴兵士の前でいい顔しないとー。」
J卿「敵の大将討ち取ったり!(;^_^ゞ」
蜥蜴兵士からは歓声があがる。
チェルシー 「エイ・エイ・エイ・オー」の雄叫びをあげる。
皆が揃って「エイ・エイ・エイ・オー」が叫ぶ。
バラックのような住居に勝手に着火して盛り上がる。
蜥蜴軍曹「燃やしちゃえ!」
あまりの反響に呆然とする冒険者。
トーエン「ところでJ卿。蜥蜴兵士の頭領って面識あります?。」
J卿「まー知らない奴ではないが~ねぇ~。(;^_^A」
トーエン「じゃ~会いにいきましょう。案内いたせ。」
蜥蜴伍長「承知。」
蜥蜴兵士達をかき分けて、案内をする。
ついていく冒険者。
白い幕に囲まれた陣地の奥に采配を振るう甲冑を着込んだ武将が一人。
報告をする蜥蜴伍長
赤龍侯「ぬぁにぃー。もう戦いは集結とな。狂王を倒したとな。」
トーエン「え~倒しました。」
J卿  (;^_^A
赤龍侯「なぬー。つまんねぇ~な~。」
蜥蜴中佐「それで~戦利品とか報奨がいま一つです。部下は納得しませんぞ。」
トーエン「もう終わってしまったのです。」
赤龍侯「そうかー。がっかり~。」
トーエン「一人は、逃げていきましたが~。」
赤龍侯「折角、やっつけにきたのにー。」
トーエン「まだ、オーク鬼どもがいますよ。」
レッシュ「まだまだ問題山積みですよ。戦後処理はこれからです。」

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撤収

「畜生!」
尖塔の上から見ていた魔法使いが一人血相変えて逃げていく。
*腹話術をかけて、冒険者が取り囲んで袋叩きにしているところ目掛けて、
攻撃魔法をぶつけるつもりだったが計画が頓挫してしまう。
レッシュ「もう、治癒関係の呪文しか残っていないよ。」
チェルシー「じゃ~かけてよー。」
堀の向こうでは、怒号がしている。
*蜥蜴兵士とオーク鬼が戦っている真っ最中である。
トーエン「ここは、大将討ち取ったり!と絶叫するしかないですよ。」
消し炭のようなその辺にころがる張りぼての首を槍に突き刺して、進める。
J卿「やるしかないのかのー。」
跳ね橋を下ろし、城門を開けて~
ちょっと恥ずかしそうに
J卿「大将討ち取ったり!(;^_^ゞ」
と叫ぶ。
レッシュ あまりに滑稽なので大爆笑。高笑いばかりがすべてをかき消してしまう。
チェルシーは、歓声をあげる。
どよめきがオーク鬼の間にはしる。
アタフタアタフタ。
レッシュ「景気づけに、火球を敵陣の真ん中にぶつけられませんか?。」
ヨアヒム師「温存しておったかいがあったわい。じゃ~水平発射ってことかな。」
戦いのど真ん中で爆発する火球が二つ。
背後からオーク鬼は、襲われて戦線は総崩れになる。
蜥蜴兵士は、大変元気になりました。
逃げまどうオーク鬼達。
ヨアヒム師「そうじゃ~この手があったわい。」
ごそごそ呪文を唱える。
お腹が揺れるほどの地鳴りがする。
突然足元が下に落ちる感覚がする。波うつ大地。
バラックのような住居が左右に揺すぶられて、倒壊していく民家。
オーク鬼達は、逃げまどい下敷きになっていく。
高笑いしながら、通りを進んでいく冒険者達。
誰もいない城を放置して出て行く。
たまに蜥蜴兵士がカタパルトで放り投げれてくる。
真南には、赤い旗がはためいている。
トーエン「オラオラオラ」
と敵兵の背後からズンバラリンと切り捨てていく。
オーク鬼達は、崩れていく。混沌としている。
南東や南西には白い旗やいろいろな紋章がはためいている。

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悪あがき

その下の螺旋階段には、激流に流された蜥蜴兵士の死体がところどころに転がっている。
トーエン「そうか~罠として用意してあった水がすべて流れて出てしまったということかー。」
レッシュ「あれまー。」
J卿「しかし~死体ばかり。戦利品はいいものはなさそうだな。」
チェルシー「どこから帰ります?」
塔を出て、城の中庭に出でくる冒険者。

「ちょっと!まったー。」
レッシュ「お帰りなさい。」
黒服金糸の上等の上着のエルフが一人憤怒の形相で目の前に立ちはだかる。
足元に広がる蜘蛛の糸に冒険者はつかまってしまう。
レッシュ「病を汝のすべてに妨げに~。」
エルフは、血を吐く。
J卿「やっていいの?」
トーエン「やっちゃってください。」
J卿は、炎の槍を突きたてる。
蜘蛛の糸に火がつき、その付近一帯の地面が炎がなめる。
あちらこちらで悲鳴があがる。
エルフも炎に包まれる。
トーエン「そんなことだったのか~。」
J卿「全部言ったら有効打にはならぬ。」
ヨアヒム師「雷がいいかな。炎がいいかな。」
トーエン「雷でお願いします。」
ヨアヒム師「私をわすれちゃいませんかー。よっこらせ。風の精霊よ!我に力を!激怒のいかづち地上に鳴り響き、
かのものを打ち砕け。」
雷鳴と閃光が轟き。
能書きをたれていたものは、一瞬にして炭と化している。
トーエンがどつきに行くと
「外れ」と張り紙がしてある。
無視してど突きまわすと炭化した部分がはらはらと落ちる。断面をみる限り生き物ではないような感じです。
トーエン「こりゃ~精巧な人形だね。また~逃げられたというところかな。」

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トドメ

J卿がつい先程まで使っていた槍を突きたてるチェルシー。
ハンマーを振り上げて襲いかかるレッシュ。
空を切るハンマー。
周囲を取り囲み袋だだきにしようとする冒険者だが、有効打がなかなか出ない。
ヨアヒム師「矢は、亡者を貫く!」
ドスドスと当たるが効いているのか?って感じです。
トーエン「あんまりたいした事はないな。」
ヨアヒム師(-_-メ;)
J卿の槍を強引に受け取るトーエン。
トーエン「かたじけない。」
ヨアヒム師「矢は、亡者を貫く!」
ドスドスと当たるが効いているのか?って感じです。
エリー 短剣を投げつけるがすり抜ける。カランカランと床に転がる。
J卿の攻撃は有効打にはならない。
トーエンは、必死槍で刺し、動けぬようにふんばる。
J卿は、魔法の剣でタタッ切る。
皆肩で息している。
老いた蜥蜴兵士が白髭でよれよれになっている。
真の王の霧散するように消えていく。
よたよたとその場を後にする冒険者。
階下は、たまっていた水もなくなり、濡れた家具が鎮座しているだけ。


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撤収の前に

トーエン「後世の歴史書には、J卿と愉快な仲間たちと従者達が討ち滅ぼしたとなるでしょう。実際のところトドメを刺しましたし。」
J卿は、ご満悦とい感じでニコニコしている。
階下より、蜥蜴兵士の野太い悲鳴がする。
どたどたと登ってくるが、足元がおぼつかない。

チェルシー「なんかーこわいんですけどー。」
トーエン「王様倒したよ。J卿が。」
レッシュ「王様は死体だしー。」
階下の呪縛が解けて、階段からふわふわとやってくる霞のような王の姿。
朽ち果てた王の死体。骨と塵や灰しか残っていない。
首は切り離されて、無残にも頭部は転がっている。
しかし、王冠はその頭にはない。
王「余が死んでおる。(悲鳴)」
その光景を固唾をのんで見ている冒険者。
トーエン「いい加減、成仏してくんね。」
元気だったら蜥蜴兵士達は、髭は白髪になり、かなりヨボヨボになっている。
息も荒くゼーハーゼーハー言っている。
トーエン「若さを吸い取られている。(;^_^A」
レッシュ「ならば,成仏してもらうしかないねー。」
王「なんで、こんなところに余が死んでおるのだ~。」
レッシュ「貴方はもう死んでいるのです。」
トーエン「ではーチェルシーよろしく。」
レッシュ「怨霊退散!」輝く聖印。
王の目は真っ赤に燃えている。
蜥蜴兵士は、レッシュの周囲で痙攣しながら倒れていく。
レッシュ(;^_^A
チェルシー「もう元に戻す方法がないんです。」
と走りながら、槍を突き刺す。


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取引

驚愕の表情を浮かべる魔法使い。
口がパクパクしているだけで何もできない。
ニヤニヤしているレッシュ達がにじりより
わらわらと他の戦士も加勢して、蛸殴りにする。
ボコボコにしてしまう。
トドメを刺す J卿の槍。
屍が一つ増える。

*偽りの王として、魔法行使の完全に裏をかかれたということである。

偽りの王の遺体は、燃えさかり塵や灰へと化していく。
豪華な衣装も見る影もなくなってしまう。
王冠だけがころころと転がる。
チェルシー「宝なんか~どこにもないよー。」
トーエン「琥珀はどこにあるんだー。」
チェルシー「王冠には、黄色の宝石がいくつもはまっているけど。」
トーエン「これは、琥珀が四個もはまっている。」
トーエンは、王冠から琥珀を抜き取り
チェルシーは、王冠そのものを袋に放り込む。
トーエン「気軽に売らないでね。」
チェルシー「チェッ!」と舌打ちする。

魔法使いの屍も青き炎をあげてよく燃えている。
レッシュ「 _| ̄|● やられたー(T-T)うー。」
ヨアヒム師「魔法検知!王の指輪が魔法がかかっておるぞ。魔法使いの薬瓶が3本ある。後は、だめだなー。」
チェルシー「金目のものが皆無ー。(T-T)」
J卿「とりあえず~異国の冒険者よ。我の手柄ってことにしておいてくれないかー。一応王も魔法使いも我の槍が討ち滅ぼしたのは事実だし。」
チェルシー「いいっすよ。」
トーエン「槍をくれ。」
J卿「これで討ち滅ぼしたわけだが。貴公等には持てなかったものだが。」
チェルシー「二本もあるしー。」
トーエン「貴公には名声を。我等には槍をということでお願いしたいのです。」
J卿「承知した。」にやりと笑う。
J卿の槍とチェルシーのレプリカの槍を交換す。外観は違いが分からないぐらいによく似ている。

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