« 詠唱 | トップページ | 裸の王様 »

複製

上空の漆黒の雲は、どんどん集まってきている。
渦を巻く雲は、台風の目の用なり中心部は無風となり漆黒の邪悪な玉を紡ぎだしている。
最初は、回転する雲の塊が、大きな球形となり、回転の速度が早くなるとどんどん小さくなっていく。
レッシュ ぶつぶつ呪文を唱える。
レッシュ「消え失せよ。邪悪な魂よ。昇華し、霧散せよ。」
レッシュの聖印は光り輝く
凝縮していた灰色の珠は、いきなり霧散する。
今まで周囲に垂れ込めていた灰色の雲は、ゆっくりと拡散していく。
周囲には残念、落胆、の感情がひろがっていく。
カエルの鳴き声は、怒りをまとっている。
トーエン「日照り作戦だな。」
レッシュ「地下の書庫の本はどうですか?」
ガルブレイス「見ればわかる。あれでは無理だ。あのカエルどもは、カエルではない。」
トーエン「じゃ~なんですか?」
ガルブレイス「カエルが二足歩行するわけないだろー。」
レッシュ「カエルの姿をしたかぶりものをしているだけとか~。」
トーエン「下半身が蜘蛛で上半身がエルフとか~。そういう奴?」
ガルブレイス「似たかよったかだなー。リンボあるいは辺獄とか忘却界という永遠の地獄に定められてはいない人間が、死後に行き着く場所と言われる。 何もないところから 奈落の隣の領域だったかな。コルムが召還者を呼びつけるもとなる世界もリンボだった。寂しい場所だったかな。」
レッシュ「グンマ?」
トーエン「違う~。」
レッシュ「強制送還の呪文がつかえるじゃん。」
ガルブレイス「そうだ。しかし、奴らは面倒だぞ。病気をうつしたり、卵を産みつけたりとか~。ほおっておくとじゃんじゃん増える。」
トーエン「卵?」
ガルブレイス「鼻くそみたいな小さな卵を投げつけてくるのだ。」
絶叫するトーエンはなにか気がついたようだ。
空飛ぶ魔法の絨毯を城門の外へとさっさと移動させる。
人気のいないところに病人のトロンヘム王を連れ出す。
王様は、まったく元気ではない。異様に膨らんだ腹部。
トーエン「怪しい。卵が植えつけられているに違いない。
王「なんだ~。何を言っておる。」
チェルシー「一回死んでもらう。」
トーエン 王にいきなり猿ぐつわをする。
王 目を見開き、必死に抵抗じたばたしている。
トーエン 問答無用で王の腹を切り裂く。
卵のようなものは、まったくなく腸があるべきところに腸はなく、中身は半分以上にどろどろのスープのような状態になっている。
サナギの中身のような状態で変身の途中のような状態に近い。
トーエン「なんか~だめっぽい。もう人間ではなくなる直前じゃ~ないか~。」
エリー「まだ口は裂けてないけど。目も離れているけじゃ~ないし。」
レッシュ「変移していない皮膚の欠片でも確保しておこう。」
エリー「変態だー。」
トーエン「もういい燃やしちゃおう。」
レッシュ「塵にしてしまう魔法ぐらいあるでしょう。」
ガルブレイス「なんだってー。無理無理~。君たち何をしているんだい。王様を殺すきかい。」
チェルシー「王様が、魔物に取り込まれているんですー。助けるためなんです。」
トーエン「保険のために、髪の毛も確保しておこう。」
​ガルブレイス「もがき苦しんでいるんではないか。きみたちは一体なにをしているんだ。」
とかなり興奮気味である。
トーエン「みたらわかるでしょう。」
チェルシー「とりあえず、とどめを刺しましょう。」
と極めて冷静に振る舞う。
チェルシー ザックリ止めをさす。
レッシュ「さっさと燃やして!」
絶句するガルブレイス
⭐火葬は、場所によって一般的ではない。
トーエン 薪をかきあつめて、油をぶちまけてさっさと燃やす。
レッシュは、先程あつめておいた材料を触媒にして、ブツブツと呪文を唱える。
レッシュ「死して、まだ昇華せずに迷える魂よー。もどってこい。おいでませー。王様。」
先程燃やしたばかりと瓜二つの王そのままの複製ができあがる。

|

« 詠唱 | トップページ | 裸の王様 »

episode-4」カテゴリの記事